ママと子供のためのヨガレッスン

星座神話

射手座

安楽死の問題は医学界ばかりではなく、わたしたちひとりひとりに直接関わる問題として

社会的にも盛んに議論されています。

神話の世界にも苦しんでいる人を目の前にして

安楽死させてあげたいと願う悲痛なエピソードが出てきます。

それが射手座の物語です。



上半身が人間で下半身が馬。

そんな姿をしたケンタウルス族はどちらかというと野蛮な種族でした。

ところがそんな中にあってケイロンだけは少し違っていました。

弓術にも優れている上、学芸にも秀でていました。

つまり文武両道。

何しろ音楽、医術、予言などを司る太陽の神アポロンと

狩猟の女神でもある月の女神アルテミスに教えを受けたといいますから

その実力は相当なものでした。

やがてそのケイロン自身も師となり洞窟で英雄達を教育するようになります。

その生徒のひとりに蟹座、獅子座神話でも登場したあのヘラクレスがいました。

そしてこのヘラクレス、ケンタウルスたちを相手に大喧嘩を始めてしまったのです。

その頃はすでにケイロンも引退し別の土地に移り住んで静かに暮らしていました。

そこへ何人かのケンタウルスたちが息せき切ってなだれ込んできます。

「一体何事です」ケイロンは驚いて叫びました。

「同族のよしみでちょっとかくまってくれないか。

実はヘラクレスに追われているんだ」

表をみるとなるほど大男がこちらに向かって突進してきます。

話を聞くと、酒の席でのつまらないいざこざからヘラクレスが突然ケンタウルスたちに

矢を射かけてきたというのです。

もともと馬鹿力ある大男の上に酒が入っていますから手加減なんてあるはずもなく

そうこうするうちに真っ赤な顔をしたヘラクレスはケンタウルスたちが

逃げ込んだケイロンの家めがけて矢を放ち始めました。

ところがそのうちの一本の矢が運悪くケイロンの胸に命中してしまったのです。

そこへ雄叫びをあげてヘラクレスが乱入します。

「あ …」

彼は目の前の光景に茫然とし、言葉を失いました。

そして赤かった顔はずんずん青ざめ、ここにきて事の重大さに我に返ります。

「先生!ケイロン先生!」

ヘラクレスは恩師の体を抱き起こして何度も叫びますが

ケイロンはもがき苦しみ続けます。

ヘラクレスの矢じりにはこともあろうに普通なら即死してもおかしくない

あの怪物ヒドラの毒が塗ってあったのです。

しかしケイロンはもがき苦しむものの死ぬことはありませんでした。

神々の王ゼウスの父親であるクロノスと

妖精フィラの間に生まれた子のため不死身だったのです。

しかし消えることのないヒドラの猛毒はその苦痛をケイロンの身体に与え続けました

死ぬほどの苦しみが永遠に続く中で死ぬことができないのです

「なんていうことをしてしまったんだ…」

ヘラクレスは滝のような涙を流しながら自らの罪を悔います。

そして必死に神に祈りました

「この猛毒が消えないのなら、せめて先生に安らかな死をお与え下さい」

自分が犯した罪のせいなのに死なせてあげてくださいというのもひどい話ですが

他に為す術はありませんでした

それを見かねたゼウスはヘラクレスの必死の願いを受け入れ、

ケイロンに安らかな死を与えたということです

その後ゼウスは弓の名手ケイロンの死を惜しんで彼を射手座として星座に加えました。

射手座は今では蠍座の尻尾を狙った位置で矢をつがえています。



木星を守護星に持つ射手座は得てして「楽観的」と言われています
しかしただの脳天気とはわけが違います
高度な知性と感性、未知の領域への探求心。それはケイロンそのものです

しかし夢中になるか全く興味がないかのふたつにひとつ。
探求するからには白黒をはっきりつけたがるのが特徴のようです。
迷っているヒマはないのです
射手座的性質の人は「自分の幸運を信じて邁進するのみ!」
そのひと言に尽きるでしょう。
ただひとこと申し上げるとすれば
不死身といわれたケイロンでさえ苦しみのために死を与えられました
「命はひとつ」です「平気で無茶をしない」こと。
限りある「命」を大切に!



12星座


牡羊座     牡牛座     双子座     蟹 座     獅子座     乙女座



天秤座     蠍 座     射手座     山羊座     水瓶座     魚 座